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進学羅針盤

保護者向け 幼児・小学生教育

子供のタブレット学習で視力低下や生活に影響はあるのか?その対策とは?

姿勢の悪いタブレット学習は視力低下や疲労の原因になる
タブレット学習は視力低下や疲労の原因に?

近年、タブレット端末やスマホで利用できる学習教材が充実し、幼少期からこれらを使用して学習することが可能となっています。
  タブレット学習は紙の教材では実現できない、動画や音声、自動採点や指導など、多くのメリットがある反面、子供の視力低下や生活リズムへの悪影響、依存症を危惧する保護者も多くいるようです。
  この記事では、タブレット学習が及ぼす影響について、いくつかの学術論文を引用して、科学的に解説したいと思います。

タブレット学習で視力低下するは勘違い?

子供の視力低下が社会問題に

文部科学省が行なっている学校保健統計調査によれば、直近の平成30年において、裸眼視力1.0未満の子供が幼稚園で26.7%、小学校で34.1%、中学校で56.0%、高校では67.2%もいることが分かりました。
  直近の過去5年を見てみると、小学校、中学校、高校での微増が見て取れます(図1)。

学校保健統計調査|視力の悪い子供が少しづつ増えている。
図1 視力1.0未満の子供の比率
文科省:学校保健統計調査平成30年度(確定値)より作成

これは、一般的には子供がスマホなどの情報機器やゲーム機を使う機会が増えている影響と一般的には捉えられています。また、多くの報告書や学術論文でも指摘されています。

視力低下の原因とは?

視力の悪化(近視化)は、Zadnikら(1994)の研究※1により遺伝的因子が大きく働いているという指摘があります。
  しかし、丸本(1999)の研究では、児童の学習時の姿勢と視力について調査した結果、受験期の学童や生徒の場合、環境因子の一部である視距離の短かさが、想像以上に大きく視力の低下に関与する可能性があるということを指摘しています。
 

視距離の説明
図2 視距離とは

さらに、丸本ら(2002)の報告※3をまじえ少しだけ詳しく解説します。
  視力が低下していないグループと視力低下が認められるグループを比較した場合、視力が低下しているグループの視距離は平均で15cmという結果でした。
  また、視力が低下しているグループの「目の調整力」が著しく低下しているという結果も得られました。ちなみに、老化で目の調整能力が低下すると老眼という現象になります。
  目の調整力はD(ディオプター)という指標で表すことができます。この数字が大きいほど調整能力が高く、一般的に10代の調整力は12D程度とされています。
  この研究では視力が低下しているグループの調整能力は3.3Dしかないことが分かりました。一般的に40代の調整能力が4D程度、50代が2D程度なので、3.3Dは相当低い数値と解釈できます。
  また、片目だけ近視化する「不同視」が多いことも指摘しており、例としてモニターなどを斜めから見ることや「頭のかしげ」により不同視になる可能性を挙げています。
  この研究では、机に座って勉強をするという状態を調査していますが、スマホやタブレットではどのような場面が考えられるでしょうか。

姿勢が悪い状態(寝転んで)でスマホをする子供
図3 寝ながらスマホを見る姿勢

上図のような場面はよく見ると思います。親でも良くやっているのではないでしょうか?
  このような姿勢でスマホを見ると、目とスマホの距離がかなり近い状態で使っているはずです。また、横向きで寝転んだ場合、両目の中心にスマホがない状態で、斜めに画面を見る状態になるのではないかと思います。
  タブレットの場合は、本体サイズが大きく、重いので、上図のような姿勢で使用するのは疲れるので長時間はできません。なので、床に置いて寝転んで使うということになると思います(下図)。スマホよりは目と画面の距離はとれますが、正面から見る状況ではないと考えられます。

寝転んだ姿勢でタブレットを使う
図4 寝転んだ姿勢でタブレットを使う

いずれの場合も、目にとって良くない姿勢であると思います。大人でもついやってしまいがちですが、子供が見ている前でやらないことが重要です。
  結局、後天的な要因として、スマホだから目が悪くなるというよりは、画面を見る距離と姿勢が視力低下に大きく寄与していると考えられます。
  なので、普通の勉強や読書でも、視距離が近ければ同じく近視化するリスクがあります。
  なお、子供の近視が疑われる場合、いきなりメガネ屋さんでメガネを作らず、まず眼科を受診することを論文の中で推奨していました。

姿勢が悪いところを子供に見られると示しがつかない
図5 子供に見られると親としての”しめし”がつかない。
引用文献

※1 Zadnik K, Satariano WA, Mutti DO,Sholtz RI, Adams AJ. The effect of parental history of myopia on children's eye size. JAMA 271:pp1323-1327,1994.
  ※2 丸本達也,児童、生徒の姿勢と視力,人間工学 Vol.35(特別号2):pp116-119,1999
  ※3 丸本達也,外山みどり,城内博,斎藤進,最近の子供の視力および調節力の特性について,人間工学 Vol.38(特別号),pp224-225,2002

スマホとタブレットの近視化のリスクの違い

スマホとタブレットではタブレットが目と画面の距離を離せる
図6 スマホとタブレットの視距離の違い

スマホに表示される文字は小さいため、ある程度の近距離でないと文字の認識は難しいでしょう。
  タブレットの場合は画面が大きいため、文字を大きく設定することにより、ある程度距離をとって画面を見ることが可能になります(上図)。
  そのため、スマホよりもタブレットの方が近視化のリスクは少ないと思われます。
  なので、学習のためにはスマホよりもタブレット端末の方が良いかと思います。もちろん、勉強以外でのYouTube等の動画視聴においても、タブレットの方が望ましいと言えるでしょう。

子供の視力を低下させないために親ができること

きちんとした姿勢で子供を座らせる
図7 体にあったイスと机できちんとした学習環境を用意するのが重要

特に幼児の場合、幼児の体型に合った学習用の机とイスを用意していない家庭が多いのではないでしょうか。
  小さな頃から机で勉強する習慣をつける意味でも、専用の机とイスを用意し、良い学習環境を用意してあげると良いのではないかと思います。

図8 幼児用の机の例
おしゃれな子供家具専門「こどもと暮らし」より引用。画像クリックで該当商品の詳細が見れます(別ウィンドウ)。リンク先は机のページとなっています。
ショップのTOPページは子供家具・雑貨のお店「こどもと暮らし」

タブレット学習によって、生活リズム、身体へ影響があるのか?

ブルーライトの影響

スマホやタブレットから出るブルーライトによる身体への影響も最近話題になっています。このブルーライトは自然界にも普通に存在し、太陽光線にも含まれています

光の色成分。スペクトロ
図9 光の色成分

太陽光線は、様々な色の光が合わさって降り注いでいます。ただし、全ての色が混ざると、人間には透明に見えます。その透明な太陽光の色成分を分解すると上図のように、ほぼ七色に分けることができます。これを見ると、太陽光にも青い光が混ざっているのが分かります。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
虹の色の中に青い光があることでも分かると思います。

ではなぜ青い光「ブルーライト」が身体に影響を与えるのでしょうか。
  人工的な光がない時代、光は太陽光のみでした。長年の進化の過程で、人の体は太陽光に含まれるブルーライトにより、昼と夜の区別を体内時計に刻むという機能を獲得したと言われています。
  具体的には、目からブルーライトが入ると、体は「朝だ!」と感知し、体内では睡眠を司る「メラトニン」という物質の生産を抑えます。
  スマホをはじめとした液晶ディスプレイからは、ブルーライトが出ていることがほとんどなので、夜間に画面を見続けると体は「まだ朝だ!」と感知してしまい、眠りにつくために必要な「メラトニン」が生成されなくなってしまいます。

綾木ら(2015)の研究※4は住宅照明に含まれるブルーライトが、体内時計と睡眠覚醒にどのような影響を与えるかを調べました。
  実験内容は、被験者が就寝前2時間にタブレットPCで読書等の作業をするときの唾液メラトニン等を調査するというものでした。被験者は「裸眼で行うグループ」と「ブルーライト遮光メガネを着用するグループ」で分けられ、その違いを比較しました。
  すると、遮光メガネを使用したグループの方がメラトニンの分泌が多くなる結果となりました。
  すなわち、人工照明やコンピュータ液晶端末から発するブルーライトには覚醒作用があり、ブルーライトを遮光すると覚醒作用が減り、眠気が増すという結論に至りました。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
就寝前にタブレット学習をする場合は、ブルーライト対策をしないと寝れないということになるかもしれません。
大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
その他に視距離が近い方がブルーライトの量が多く目に入るというデータもあります。

寝れないという症状がでると、生活リズムが崩れてしまうので注意する必要がありそうですね。

引用文献

※4 綾木雅彦,森田健,坪田一男,住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響,住総研 研究論文集No.42:pp85-95,2015

タブレット学習における、ブルーライト対策

先ほどご紹介した研究ではブルーライト遮光メガネを使用していましたので、ブルーライトカット機能のあるメガネは有効であると考えられます。
  ただし、千円程度で買える安いものではなく、メガネ屋さんで買える少し高いものが良いかと思います。
  例えば、子供用のものであれば、J!NSというメガネ屋さんで取り扱っている商品なんかが良いかと思います。
例:JINS SCREEN KIDS
  度が入っていないメガネでも、メガネ屋さんで調整をした方が使いやすいと思います。

また、先ほど「空が青い理由」で、波長の短い光(ブルーライト)は空気中の粒子にぶつかりやすく、ぶつかると光を散乱させると書きました。じつは、皆さんの目の前でも同じことが起こっていて、画面から出るブルーライトは目にまぶしく感じやすいです。
  まぶしさを抑え、目の負担を軽くするという意味でもブルーライトカットメガネは意味があると思います。(詳しくは書きませんが、他にも、ブルーライトをカットすると色収差の関係でハッキリ見えるという効果もあります。)

他に、タブレットにブルーライトカットのフィルムを貼るという方法もあります。例えばiPadを使用している場合「iPadシリーズ用フィルム(ペーパーライク・ブルーライトカット)」 が良いのではないかと思います。
  iPadでAplle pencilを使うとツルツルして使いにくいのですが、これを貼ると紙に書いているような感覚になり、さらにブルーライトもカット(55%)してくれます。非光沢なフィルムなので反射も抑えられます。


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メモ

最近のAndroidやiPadOSにはナイトモードを標準で搭載しています。指定された時間になると画面の色調が暖色系に変化し、ブルーライトの量を軽減する効果があります。
  しかし、最近の研究※5により黄色〜オレンジの色もブルーライトのような作用があるということが、マウスの実験により分かってきました。
  なので、ナイトモードはそれほど効果が無い可能性も出てきました。そのため、ナイトモードではなく普通のモードでブルーライトカットメガネまたはフィルムを使う方が良いかもしれません。

※5 Joshua W. Mouland,Franck Martial,Alex Watson,Robert J. Lucas and Timothy M. Brown,Cones Support Alignment to an Inconsistent World by Suppressing Mouse Circadian Responses to the Blue Colors Associated with Twilight,Current Biology,Vol.29 Issue24:pp4260-4267,2019

タブレット依存症にならないのか?

ネットに接続できるタブレットを子供に使わせることにより、ネット依存症になるのではないかと心配する方も多くいるかと思います。

スマホ(ネット)依存症の子供のイメージ
大人でもハマるネットサービスは、子供でもハマるのが当然

スマホやタブレットを使うと依存症になるという科学的根拠を示した論文は、見当たりませんでしたが、スマホ(ネット)依存症に関する実態調査や意識調査を考察をした論文は多くありました。
  その中でも伊藤(2017)が行った研究※6では小学生、中学生を対象に行った「H27携帯電話・インターネットに関わる生活実態調査 前橋市教育委員会」のデータに基づき考察をしています。
  調査はネット依存傾向を推定するK-スケール(修正)を用いて行われ、対象者を「高リスク」、「潜在リスク」、「一般的使用者」、「測定不能」に分類しました。
  その結果、小学生の場合、女子よりも男子がネット依存リスクが高いということが分かりました(表1赤枠)。また、その対照的に中学生では学年が上がると男子よりも女子のリスクが高いということも分かりました。

※なお、スマホでの閲覧性を考え、論文から引用した図表はオリジナルデータから再作成しました。オリジナルの図表は引用文献のリンクから論文を直接ご覧ください。

表1 学年別・性別にみた依存傾向
学年・性別ごとのネット依存症の比率

さらに、高リスク群と判定された「小5〜6男子、中2〜3女子」について、よく使うサービスについて見てみると、小学生男子ではゲームと動画サイト中学生女子ではLINEと動画サイトという回答が目立っているが、中学生女子ではゲームやツイッターもある程度多いことも注目される。と読み取っています。
  そして、一般的に,男子生徒はゲーム、女子生徒はSNSに対する依存傾向が指摘されるが、この調査においてもその傾向は明確に現れている。としたうえで、動画サイトが依存傾向と結びついている可能性はあまり指摘されることはないが、継続して注視していく必要があると指摘しています。

ネット依存に高リスクな生徒が使うサービス
図10 高リスク群と判定された生徒が「よく使う」と答えたサービス

この調査ではネット依存傾向と生活満足度についても調査しており、依存傾向が高いと判定された生徒は、学校や家庭での満足度が低い傾向にあると分かりました。
  これについては、ネットへの依存傾向は生活の不満足と関連しており、オフライン上の不満足を埋め合わせるように作用している可能性があると示唆しています。

ネット依存傾向と学校の勉強の理解
図11 依存傾向と生活満足度「学校の勉強は理解できる」

↑グラフ解説:高リスク・潜在リスクのグループは、学校の勉強が理解できるに当てはまると答えた率が少ない傾向にあります。

ネット依存傾向と家族との繋がり
図12 依存傾向と生活満足度「家族の団らんの時間は楽しい」

↑グラフ解説:高リスク・潜在リスクのグループでは家族との団らんを楽しいと感じる生徒の比率は低くなっています。

ネット依存傾向と不登校予備軍
図13 依存傾向と生活満足度「学校に行きたくないと思うことがある」

↑グラフ解説:高リスク・潜在リスクのグループは学校に行きたくないと思う生徒が、多いことがわかります。特に、高リスクでは一般使用者のぼぼ倍になっています。

大学・専門学校に詳しい先生がびっくりする
先生
これはショッキングな結果だと私は思います。

また、ネット利用について何らかの約束をしているかどうかについても調査されています。その結果、家庭でのルールについての検討では、とくにネット依存の防止に有効な約束は発見されていないとしながらも、放任主義は依存問題についてはマイナスに作用するらしいと示唆しています。

ネット依存防止のためのルールを決めているか
図14 依存傾向と約束の有無
大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
ネット利用の約束がない場合のほうが高リスク・潜在リスクの生徒が多いのがグラフから読み取れます。ネット依存を防止するために何らかのルールを決めた方が良いのかもしれません。
引用文献

※6 伊藤賢一,小中学生のネット依存に関するリスク要因の探究,群馬大学社会情報学部研究論文集 Vol.24,2017

勉強専用のタブレットにする

幼児〜小学生の場合

市販のタブレットではなく、基本的に勉強にしか使えない専用タブレットの通信教育を利用するのも良いかと思います。
  例えば、専用タブレットを使う通信教育の例として「スマイルゼミ(幼児〜中学生まで対応しています)」が挙げられます。
  資料請求は無料みたいですから気になる人はこちらから資料請求してみてはいかがでしょうか→スマイルゼミ
  勉強にしか使えないタブレットですから、これに依存するということは勉強に依存するということで都合が良い気もしますが、やりすぎは体に良くないので節度をもって取り組む必要がありますね。
 

中高生の場合

勉強のためにタブレットが欲しいと言われたり、親が与えたいと考えた場合は、やはりルール作りが大切だと思います。
  せっかく勉強用にタブレットを購入しても、ゲームや動画視聴がメインになってしまっては有害になってしまいます。
  もし仮に、タブレットでのゲームや動画視聴を禁止したり、制限するアプリを導入したとしても、中高生はかなりの確率でスマホを所有しているでしょうから、タブレットではなくスマホでゲームをするだけです。
  こうなった場合、視力の低下やブルーライトの影響を多く受けてしまう可能性もあるので、体のためにはよくありません。
  最終的には、子供をよく観察し、よく話し合って依存症にならないように導く必要があると考えます。

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