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英語教育を幼児・小学生から始めた方が良いのか?学術的な研究例から検証してみた。

子供の英語教育は早い時期からやった方が効果がある
英語の幼児教育には効果がある

子供が小さい時に英語を学ぶことで、本当に将来役に立つのか?
  具体的に一番気になるところは、やはり「教科としての”英語”の成績向上につながるのか?」ではないでしょうか?
  これについて調べた学術論文がいくつかあり、成績の向上が認められる研究例が多くあります。
  また、幼少期における英語学習の方法や学習意欲についても合わせて論じられています。
  この記事ではこれらの学術論文の記述内容を引用し、幼少期の英語学習が役に立つことや注意点を分かりやすく解説します。

※なお、本記事では幼少期とは3歳〜小学6年生としています。

「幼児期に英語を学んだ人がどうなったのか?」を知れば幼少期の英語教育の効果が分かる。

幼少期に英語を学んだ方が良い結果をもたらすという研究は、脳科学を始め様々な方面で研究がなされています。
  しかし、一番分かりやすいのは幼少期に英語塾や英会話教室に通った人が、どうなったかを知ることだと思います。
  具体的には英語のテストの点数やバイリンガルになれたのかを追跡調査すれば良いことになります。
  実際は、国内で発表された学術論文では幼少期から追跡調査をするような手法ではなく、過去に遡って調査する手法がよくみられます。
  例えば大学生に英語のテストをして点数の良いグループと悪いグループの過去の学習履歴を比較するといった手法がなされています。
  次のセクションから幼児英語教育の効果について詳しく見てみましょう。

TOEICスコアで幼少期の英語学習の効果を比較した事例

池中(2008)の研究は、北陸学院短期大学の学生を対象にアンケート調査をしました。
  アンケートは幼少期(小学6年生まで)の英語教育に関するもので、下記の通りの質問でした。

  • 幼少期に英語を学んだか?
  • 英語をどこで学んだか?
  • どのような内容を学んだか?
  • 英語学習は役に立ったか?
  • 英語学習は楽しかったか?

TOEICスコアの比較

アンケート結果に基づき、幼少期に英語を学んだグループと学ばなかったグループのTOEICスコア(平均)を比較しました。

TOEICのスコアと幼児期の英語学習との関係
図:TOEICスコアと早期英語学習の関係
池中(2008)の表をもとに作成したもの

上図のように、幼少期に何らかの形で英語を学んだ学生のTOEICスコア(平均値)は、学ばなかった学生よりも高いということが示されました。

英語を学んだ場所と内容

英語をどこで学んだかという質問に対しては、英語教室(塾)という回答が半数以上を占め(54%)ていました。
  学習内容では、ゲームや歌などを取り入れたものが多く、単語、会話、発音と続きます。
  これについて筆者は、読んだり、書いたりする活動ではなく、聞いたり、話したりする活動を中心にゲームや歌などを通して学習したことがわかる(池中,2008)としています。

英語学習は役だち、楽しいか?

幼少期に英語を習ったことに対して、「役に立ったと思う(30%)」、「少しは思う(44%)」という肯定的な回答が全体の7割以上を超えていました。
  これに対して筆者は肯定的に英語学習の効果をとらえているということは、その後の英語学習において、肯定的な姿勢をもって学習してきているのではないかと思われる(池中,2008)としています。
  また、英語学習は「とても楽しかった(25%)」、「まあまあ楽しかった(55%)」であり、全体の8割が肯定的な回答をしています。
  幼少期の英語学習が役に立たなかったと回答している17%の学生のうち、56%は楽しさについて肯定的で、40%が否定的でした(下図)。
  このことから、英語活動の楽しさと役に立つという意識はあまりつながっていない(池中,2008)と述べています。

幼児期の英語学習の楽しさは役に立つという意識とは関係ない
図:幼少期の英語学習が役に立つと楽しいの意識にはつながりがない
大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
ほとんどの人が幼少期の英語学習について、役に立ち、楽しかったという意識をもっているようです。

引用文献:
池中雅美,「早期英語学習経験と英語力および学習態度に関する研究」,北陸学院短期大学紀要,第40号,pp85-94,2008

資格・検定保有で幼少期の英語学習の効果を比較した事例

前述した研究例は2008年発表のものなので、10年以上前のものとなります。
  子供の英語学習事情も近年では変化があるでしょうから、最近発表(2018年)されたものをもう一つご紹介します。

大北(2018)は中学校以前の英語学習が、大学における英語学習の動機づけや能力に与える影響を与えているかを、現役大学生へのアンケート調査で明らかにしようとしました。
  なお、調査は東京女子大学の学生104人(有効回答101人)に対して行われました。
  アンケートは動機づけについての設問、英語能力についての設問(資格・検定)、意欲変化をグラフに書き込む自由記述の設問で構成され、それぞれを中学校時代、高校時代、現在に分けて質問しました。
  英語の能力については、同じ基準で比較するため、「資格・検定CEFR対象表」というものを用いました。
  これは、アンケート調査に書かれた資格・検定の回答を「資格・検定CEFR対照表」に照らし合わせてランク付けするためです。
  「資格・検定CEFR対照表」を使えば異なる資格間の英語能力を比較することができます。

早い時期に英語学習を開始した人が英語能力が高い

注→<以前>:中学入学前から <以降>:中学入学後
全体としては、中学校入学前に英語学習を開始した人と中学校以降に開始した人では、<以前>が動機づけ、英語能力ともに高いことが明らかになった(大北,2018)ということです。
  また、これに関して英語学習への動機づけについては、<以前>は必要性と今後の学習意欲どちらにもポジティブだった。
  一方、<以降>は必要性を高く感じている回答が多いが、今後の学習意欲への関心は低かった(80%→27%)。
  この結果から、<以前>は将来に向けての動機づけが強く統合的動機づけを持っていると考えられる。(大北,2018)
としています。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
早期から英語学習を行うと、英語能力だけでなく、モチベーションも高くなるということです。

引用文献:
大北恵里奈,中学校入学前の英語学習がそれ以降の動機づけや英語能力に与える影響,東京女子大学言語文化研究,Vol.27,pp.23-55,2018

その他の早期英語教育の効果に関する研究

前述した2つの論文以外にもいくつか似たようなものが発表されています。ここではそれぞれの論文をごく簡単にご紹介します。

早期英語学習が英語能力向上に役に立つとした研究例

恵・横川・三浦(1996)の研究では、中2・中3・高1にアンケート調査を行い、早期英語教育を受けた者と、そうで無い者の英語能力を比較しました。
  その結果リスニングの技能はいずれの学年でも早期英語教育を受けた者の方が有意に優れていた。一方、リーディングの技能には有意的な差が見られなかった。(恵・横川・三浦,1996)としています。

また、高橋・大野・柳(2016)の研究では、国際活動に注力している私立中学校の生徒のTOEFL Primaryテストのスコアを分析しました。
  こちらの研究に関しては、早期に英語教育を受けた者とそうでは無い者の比較ではなく、TOEFL Primaryテスト結果から、中学入学までに受けてきた英語教育がリスニング・リーデーングにどのような影響を与えているのかを研究しています。
  結果としては、リスニングの得点が有意に高かった。これは小学校の外国語活動で”音声中心”の学習を生徒らが体験してきたことが影響している(高橋・大野・柳,2012)と述べています。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
どちらの研究でも、早期英語教育により多少なりとも、聞くこと(リスニング)の能力を向上させたということだと思います。小学生までの英語学習は、基本的に聞くこと話すことに重点が置かれているためと考えられます。

さらに、谷塚(2000)では、高校・大学生を対象とした調査で幼少期の英語学習経験が音素識別テストの高得点につながり、高校卒業後や大学時代のモチベーションが高くなる(谷塚,2000)。 としています。

英語教育を始める時期で英語能力に差がなかった例

Iwata(2012)は大学の英語専攻学部の学生と心理学専攻の学生について、幼児期の教育が大学入学時の英語能力(ミシガンテストスコア)に影響があるかを調べました。
  早期英語教育の有無と英語能力については、英語塾に通っていた経験とリスニングには有意な相関関係がある。(Iwata,2012)
  また、英語塾に通った期間とリスニング、グラマー、リーディング能力には相間が認められ、特にリスニングについては強い相関(Iwata,2012)を示しました。
  しかし、英語学習開始の時期については全ての英語技能に関して相関性が見られない(Iwata,2012)。ようです。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
この研究では、早期英語教育によりリスニングに能力向上が見られ、通塾している期間が長いほど英語能力(語彙力以外)の向上が見られたとのことです(特にリスニング)。
ただし、何歳から英語塾に通ったかについては英語能力との相間が見られなかったということです。

引用文献:
高橋美由紀・大野直子・柳善和,外国語活動で要請された「聞くこと」「読むこと」の能力について-グローバル化に対応した英語能力の測定-,愛知教育大学研究報告 人文・社会科学編,Vol.65,pp.131-144,2016
恵達二郎・横川博一・三浦一郎,早期英語学習経験者の中・高における成績,日本児童英語教育学会研究紀要,Vol.15,pp.27-35,1996
谷塚尚美,早期英語教育が音素識別能力と英語学習に対する態度に及ぼす影響,日本児童英語教育学会研究紀要,Vol.19,pp-73-92,2000
Iwata K.,Influence of early English education on later English ability.,JACET中部支部紀要,Vol10,pp81-95,2012

幼少期の英語学習方法の選び方

既に英語を習っているイメージ漫画

池中(2008)では高い英語能力を身につけさせるには、”初期段階の早期英語教育を有効に行うこと”、”次の段階で関心、意欲が継続的に持てるようなカリキュラムを作成する必要がある”と書いています。
  また、大北(2018)は中学校入学以前に英語学習を開始することで動機づけと英語能力が高くなると考えられる。また、動機づけを高めるには中学校以前の学習とその際に英語に関心をもつことが重要だと述べています。
  私たちの感覚的にも小さい頃から英語に触れている方が英語力がつきそうな気がしますが、研究者によって調査された結果がそれを裏付けした形です。

大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
可能であれば、早い時期に英語の学習を開始した方が良さそうです。

上記、2つの論文とも英語を学習する動機づけ(モチベーション)という部分について触れており、それが成績に影響しているということでした。
  多くの論文で、同じようなことを論じており、英語学習においては動機づけが成績の良し悪しに少なからず影響を与えていることは間違い無いと考えられます。
 

大学・専門学校に詳しい先生が正解を指摘
先生
受講者が英語を楽しいと感じることは、英語を続けるためのモチベーションを保つには一番の動機となります。

また、Iwata(2012)の研究で見出された英語塾に通塾する期間と英語能力は相関性にあるように、長い期間学ぶことができれば英語能力の向上が期待できるでしょう。
  「長く勉強すれば成績が上がる!」・・・良く考えれば当たり前に感じると思いますが、研究者によってしっかりと裏付けされた形です。

モチベーションを維持し、長い期間受講できる英語学習

最近の英語学習の方法は様々ありますが、幼児・児童向けのものを大きく分けると、英会話系の教室(オンライン含む)と英語学習教材に分類できるかと思います。
  結局、長期間学び続けるにはモチベーションが必要となります。この点で言うと教材系よりも英語教室系の方が楽にモチベーションを保つことができるかと思います。
  理由は「子供のモチベーションは大人がコントロールする必要」があるからです。
  英語塾の講師は英語を教えるだけでなく、受講者のモチベーションをうまく引き出すという役割(いわゆるメンター)を果たしてくれるはずです。
  ただ、この”モチベーション”というものは難しいもので、受講者の特性・性格によって引き出し方が変わるものです(教員の立場として私が感じたこと)。
  ですので、ゲーム感覚で楽しさを優先する未就学児向けの教室ではコミュニケーションを学ぶと言う意味でも多人数の方が良いのですが、少し学年が上がると個別指導(一対一)の方が細やかな指導を受けることができるかと思います。
  なお、新型コロナ問題や通塾方法という問題もあるので、個別指導の場合、オンライン英会話が便利なのかもしれません。

大学・専門学校に詳しい先生が困りながら解説
先生
子供が講師のことを気に入っていなければ英語教室が苦痛の何者でもなくなってしまいます。
どなたでも小学校の時、嫌いな先生がいたかと思います・・。その人に長期間習うのは無理です。

通信教育等の英語教材でも、オンラインで会話ができたり、イベント開催があったりするものはモチベーション喚起に良いかと思います。
  ですが、基本的に自分のペースで学習を進めなければならないので、親の関与が絶対的に必要です。
  一部の英語教材を除いて、コストはかからないのがほとんどなので、積極的に子供に関与(むしろ一緒にやってみるくらいの覚悟)できるのであれば、コストパフォーマンス的に英語教材が良いかもしれません。
  通信教材を買ったけど子供がやらないという現象のほとんどは、買い与えただけで、親の指導がないことが原因かと思います。

英語の通信教育教材は親子で一緒にやるか、積極的な関与が必要
英語の通信教材は親の積極的関与が必要

英語の通信教材について、少なくとも自分一人で進められるようになるまでは積極的に関与する必要があります。
  指導できない、指導の仕方が分からないと言う方も多いかとは思いますが、英語について指導すると言うよりは、一緒にやる時間を共有するといった感覚でも良いかと思います。
 

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