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勉強にスタンディングデスクの効果はアリ、その科学的根拠とは

更新日:

スタンディングデスクで立ち続けて勉強は良くないという科学的論拠
マンガ① 立ち続けない「立ち勉強」が効率がいい

メンタリストDaiGoさんが使用しているということで、話題となったスタンディングデスク(立ち机)ですが、日本では楽天などの大手企業に浸透し始めています。
  欧米では、座りすぎが健康に良くないということでそれなりに普及しているらしく、今後も需要が伸びていくという試算もあります。
  スタンディングデスクを仕事に使うと健康に良い悪いの議論はよく行われていますが、この記事では「勉強の効率化に効果があるか」について見てみたいと思います。
  結論から言うと、スタンディングデスクは受験勉強や資格試験の勉強に効果があると思います。
  ただし、ずっと立ちっぱなしではなく、イスに座るのと併用するのが良いようです。
  本記事では国内外の学術論文、学会発表などの資料からスタンディングデスクの効果を調べてみました。
  また、立ちと座りを交互にする場合の時間間隔(インターバル)についても調べてみました。

スタンディングデスク(立ち机)で勉強する
【2019年版】受験勉強用スタンディングデスク(立ち机)の選び方

スタンディングデスク(立ち机)で勉強中の眠気防止と集中力UP? 記事の目次1 スタンディングデスクとは2 スタンディングデスクでの勉強は効果が期待できるのか?3 スタンディングデスクの種類と選び方4 ...

Q.スタンディングデスクは眠くならないのか?

ANSER:眠気防止効果あり

<解説>

国内で行われた研究事例を2例ご紹介します。なお、これらの研究では実験での立位姿勢時はスタンディングデスク(昇降式)を使用しています。
  1つ目は大学生を対象に行われた実験で、座位(イスに座ったまま)・立位(たったまま)・転位(座位と立位を交互)の状態で、ワープロ作業を行った時の眠気についてのデータです。
  この研究によれば、座位と立位では立位の方が統計学的に有意に眠くなりにくい(鈴木ら,2014)ことが分かりました(図1、図2)。

図1 自覚症「ねむい」の結果
図1 自覚症「ねむい」の結果(鈴木ら,2014 一部加筆)
実験開始後、全ての時間帯で座位よりも立位・転位が眠くない状態が続く事がわかる。
自覚症「ねむい」の平均評定値と標準偏差
図2 自覚症「ねむい」の平均評定値と標準偏差(鈴木ら,2014 一部加筆)
座位と立位では立位が眠くなりにくい(統計学的有意差あり)。座位と転位では転位が眠くなりにくいという傾向はみられた(有意差なし)。

2つめの研究事例は中学生を対象とした実験で、立位と座位を自由に変え勉強する「可変姿勢」のグループと座位のみで勉強するグループに分け、それぞれの眠気感を調査したものです。実験は80分を1コマとして2回行われました。
  注目すべきは実験を行った時間帯で、1コマ目開始が17:00で、2コマ目終了が22:00という学校から帰ってきた後に勉強をする時間帯だと言うことです(疲れてる時間帯)。
  その研究によれば、座位姿勢のみのグループより可変姿勢のグループが眠くなりにくい(阿久津ら,2018)ことが分かりました。

スタンディングデスク使用時とイス使用における眠気感の時系列推移
図3 眠気感の時系列推移(阿久津ら,2018 一部加筆)
学習中のほとんどで、可変姿勢の方が座位姿勢よりも有意に眠くなりにくいのが分かった。なお、図中の*(アスタリスク)は統計学的有意差があることを示し、その数が多いほど信憑性があることを示す。
大学・専門学校に詳しい先生がグッドサイン
先生
座ったままよりも立ったまま、または立ち・座りの交互が眠気防止に効果があるようです。

Q.立って勉強すると勉強効率が良くなるのか?

ANSER:立ったまま、立つと座るを交互にした場合も勉強効率に効果あり

<解説>

阿久津ら(2018)では先ほどの眠気以外にも「学習成果」についても調査しています。この研究で行った学習というのは漢字を覚えるという学習で、その学習成果は何個の漢字を覚えられたかという数字で調査されました。
  その結果、可変姿勢(立つと座るを交互)での学習効果が有意に高いということが分かりました(図4)。

スタンディングデスク使用による学習効果
図4 学習成果(阿久津ら,2018)
学習コマ1と合計で可変姿勢が有意に学習効果がある(漢字を覚えられる)という結果がでた。図中のプラス記号は統計的有意差があることを示す。

また、阿久津(2012)では、テンキーとエクセルを用いた一桁の計算を可変姿勢と座位で正答数を比較したところ、可変姿勢の正答数が有意に高くなることも見出しています(図5)。

スタンディングデスクを使用(可変姿勢)した時と座位姿勢(イスに着席)の正答数の違い
図5 10分当り平均正解数(阿久津ら,2012)

さらに、Mehta et al.(2014)の研究では前頭葉機能検査法である「ウィスコンシンカード分類課題」において、スタンディングデスクを使用することにより有意なスコアの向上が認められたことを報告しています。

大学・専門学校に詳しい先生が正解を指摘
先生
記憶・計算いずれの勉強でもスタンディングデスクでの勉強は効果がありそうですね。眠くならないので当然でしょうか?

Q.スタンディングデスクの使用は疲れないか?

ANSER:立ったままだと疲れるし、むくみも発生する。ただし、立つと座るを交互にすると疲れもむくみも緩和する。

<解説>

鈴木ら(2014)の研究では身体の疲労に関するデータも検証をしています。その結果によれば立位のまま作業をすると「足のだるさ」が顕著になりますが、座位と立位の姿勢転換することで緩和されることが分かりました(図6)。
  また、座り続けることによる臀部(おしり)の違和感(痛さ)は、座位と立位の姿勢転換することで緩和されることが分かりました(図7)。
  足の「むくみ」については座位・立位ともに同じくらいむくみが発生しましたが、座位と立位の姿勢転換により緩和されることが分かりました(図8)。

スタンディングデスクを使用し立つ、イスに座るを交互で足のだるさが軽減
図6 自覚症「足がだるい」の主観評定値(開始前と比較した増加)の結果(鈴木ら,2014 一部加筆)
立位では足のだるさが高いが、姿勢転換では座位程度に緩和されている。立ったままでは疲れるということである。
イスに座り続けるよりもスタンディングデスクで立ったり座ったりで臀部の違和感が緩和
図7 左臀部の違和感の主観評定値(開始前と比較した増加)の結果(鈴木ら,2014 一部加筆)
後半の時間になると座位では臀部(おしり)の違和感が上昇するが、姿勢転換では座位レベルにとどまる。
イスに座るのと立ちっぱなしでは足がむくむのでスタンディングデスクで立つ・座るを交互にした方がいい
図8 120分時点の下腿周径(開始前と比較した増加)の平均値と標準偏差(鈴木ら,2014 一部加筆)
座位と姿勢転換では有意に姿勢転換の方が足がむくまない。
大学・専門学校に詳しい先生が解説
先生
立ったり座ったりすることで疲れにくく、「足のむくみ」も緩和効果がありようです。

メモ

Saeidifard et al.(2018)の研究では、立位・座位におけるカロリー消費について、過去に発行された論文46例を文献調査した。座るよりも立って作業する方が1分間あたり、0.15kcalだけ多いということが分かった。これは、単純計算で1年間では2.5kgの体脂肪を減らす事ができる計算だ。

勉強でのスタンディングデスク使用法

上記の研究結果から、スタンディングデスクを使用した勉強は効果があることが分かります。身体の疲労などを考えると「立つ」と「座る」を交互に行った方が良さそうです。
  では、「立つ」と「座る」の時間的な配分はどの程度が良いのでしょうか。

茂木ら(2016)の研究では「立位10分・座位50分」と「立位40分・立位20分」の組み合わせで疲労感を調査しました。
  その結果、60分のうち10分立位姿勢で作業するだけでも負担軽減効果があることが示唆されました。

前述した鈴木ら(2014)の研究で自覚症「足がだるい」の結果(図6)では、立つと座るを交互に行う姿勢転換において座ったまま作業するのと同じくらい「足のだるさ」を軽減できました。この時の実験条件は20分間立位で、40分間座位でした。

以上のことから、60分間のうち20分程度は立ったまま勉強をすれば疲労感は緩和されると考えられます。しかし、受験勉強や資格勉強のために多少の無理をして勉強する状況を考えると、立位の時間をもう少し増やす方が良いかもしれません。とりあえずやってみて(どこまで立位の時間を増やせるか?)自分に合った時間配分を決めるといいでしょう。

まとめ

受験勉強や資格試験の勉強においては、スタンディングデスクは勉強効率向上の効果が期待できます。ただし、ずっと立ち続けると疲労や「足のむくみ」が発生するので適度にイスに座って勉強をする時間をとる事が大切です。
  立ったり座ったりを行うには、高さが固定されているスタンディングよりも、高さを変えられる昇降式のスタンディングデスクが最適かと思います。

昇降デスクの例 ※別ウィンドウで開きます。


引用文献

それぞれの論文の一部のみ紹介しましたが、詳しく理解したい方は論文へのリンクをご参照ください。全て別ウィンドウで開きます。

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