
メリット
- 国家資格を短期間で取得できる場合がある
- 条件を満たせば国からの給付金をもらえる
- 入試や学費に優遇がある
- 異業種転職しやすくなる
- 専門知識・技術を教えてもらえる
デメリット/リスク
- 経済的に困窮する
- 大変で続けられない
- やりたい仕事に就けない
- 年齢により再就職が困難になる
- 学歴として見てもらえない
- 社会人は進路を間違えやすい(ミスマッチに気づかない)
この記事にたどり着いた方は、「転職」「進学」「現状維持」で迷っている方、不安がある方が多いかと思います。
社会人の進学について「不安・悩み」がある方は、「【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人の悩み解決方法とは」の記事を先に読んだ方が良いかと思います。
注:本文中には短大は出てきませんが、短大=専門学校と解釈して下さい。
社会人の専門学校進学のメリット
メリット1
国家資格を短期間で取得できる場合がある
社会人が転職のために、仕事に必須の資格(業務上、法的に定められている資格)を取得する場合は、早く確実に資格が取れる進路が望ましいと言えます。
その様な資格の多くが受験資格に学歴が必要なので、進学は避けて通れないと言えます。
専門学校であれば、かかる経費や修業年限も四大より短いことが普通なので、社会人の進学に適していると考えられます。
また、いくら国家資格を取得したからと言っても、その仕事については未経験者であることは変わりません。
なので、転職するという視点からすると、
卒業時の年齢が若い方が有利です。
保育士
2年
救急救命士
3年
看護師
3年
柔道整復師
3年
医療放射線技師
3年
2級建築士
2年
なお、美容師・理容師・調理師などは専門学校で資格取得するのが一般的なので、専門学校に進学する流れになります。
民間資格でも役に立つのもは多くありますが、社会人がそれを目的に専門学校に入学するのはオススメできません。
通信講座等で個別に資格取得した方が時間・コスト的に良いでしょう。
なお、国家資格取得目的で専門学校を検討されている方は「国家資格取得のための、失敗しない専門学校の選び方」の記事が役に立つかと思います。
メリット2
条件を満たせば国からの給付金をもらえる
雇用保険加入期間が2年以上あり、一定の条件を満たす人は、専門学校の「職業実践専門課程」に進学で給付金(返済不要)をもらえるかもしれません。
例えば、受講費用の50%(上限年間40万円)を6ヶ月ごとに最大3年間受け取ることができるほか、生活費に使える「教育訓練支援給付金」があります。
詳しい内容については別記事の社会人が専門学校の職業実践専門課程で学ぶときに使える給付金が参考になると思います。

メリット3
入試や学費に優遇がある
専門学校によりますが、社会人入試や社会人入学として、入学選考の簡略化や学費に対する優遇があります。
医療・看護系など、ある程度の学力がないと入学できない専門学校だと、社会人入試制度はメリットになると思います。
ただし、社会人でもAO入試を使える場合があるので、そちらの方が有利かもしれません。


ヒロト


ヒロト
※赤字経営や大きく定員割れしている専門学校は、「高等教育の無償化」の対象校から外れているので、簡単に見分けられます。
メリット4
異業種転職しやすくなる
一般的に異業種への転職は難しいことが多いです。特に年齢が高くなってくると前職の実績が最も評価されるポイントになってしまいます。
ですが、業務に必須の国家資格を取得した場合や、専門スキルを証明する資格があれば異業種転職に有利となるでしょう。
特に、資格試験の勉強に、個人で買えない施設や機器が必要な場合、専門学校で学ぶ価値があります。
例えば職業で言えば、ペットトリマー、建築・土木分野などは、専用の施設で学ぶメリットがあります。

この記事を読んでくださっている方は、「転職か?」「進学か?」「現状維持か?」で迷っている方だと思います。
社会人から専門学校への進学で失敗した場合、転職で失敗するよりも・・
被害甚大になります。
その被害は、浪費したお金と時間だけにはとどまりません。
専門学校は、専門性が高いため、卒業しても「つぶしがきかない」。
なので、専門学校で学んだ専門分野以外に就職・転職する状況になれば、かなり苦戦を強いられます。
そうならないためにも、
本当にその分野の専門で良いのか?
その分野の仕事は自分に合うのか?
を入学を決める前に、きちんと考えた方が良いです。
実際、入学してから、その分野のミスマッチに気づく社会人が結構多いです。
詳しくは「【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人の悩み解決方法とは」という記事で書いていますので、必ず読んでください。
メリット5
専門知識・技術を教えてもらえる
専門知識や技術は本やネットを見ただけでは簡単に習得できないものが多いと思います。
最近の学び方は多様化しているので、オンライン学習などで、専門知識を得ることも可能です。
ですが、自分一人で学ぶことが苦手な人には、学校に通い「教えてもらう」方が良い場合もあります。
専門学校では、実習を含めて専門家が教えてくれるのですから、価値があります。
ところで、社会人を辞めて専門学校に進学したい人の動機は、様々なものがあるかと思います。
例えば、昔から憧れていた職業を諦められないので、専門学校で学ぶ・・とても幸せなことだと思います。
楽しいはずなので、学ぶだけでメリットといえるでしょう。
思ったよりも、専門技術を習得することは大変ですが、自分のやりたいことですから、がんばって勉強できるはずです。
一方、転職活動が上手くいかないので「とりあえず専門学校で学んでみるか」と将来の模索のために進学する人は危険です。
専門分野への熱い情熱がなければ大変すぎて、卒業まで耐えきれない可能性があります。
また、卒業まで耐えたとしても、その専門分野で働けるだけの技量や資格取得がおぼつかなく、満足な就職ができないかもしれません。
そんなことになったら、社会人を辞めてまで専門学校に行く意味はありません。

ヒロト


勉強すれば専門家になれますが、ナメてかかると痛い目を見ます。
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク
デメリット・リスク1
金銭的に困窮する
前述したメリットでご紹介した給付金をもらっても、学費全てを賄えるわけではなく、専門学校2年間で100万円以上の資金が必要になることもあります。
給付金を使わない場合、一般的に300〜400万円の学費が必要となります。
さらに。一人暮らしをする場合は生活費も合わせると、500万円程度は覚悟しておいた方が良いです。
専門学生になれば、奨学金を借りることもでき、日本学生支援機構の第二種奨学金(利子あり)は、月に最大12万円を借りる事ができます。
しかし、奨学金は借金です。卒業後、安定した職業に就けなかった場合、返済が滞る可能性はあります。
実際、奨学金を借り、卒業後の収入が不安定で自己破産に追い込まれるケースもあります。
日本学生支援機構の発表によると、平成24〜28年の間に約8千人が自己破産したため、奨学金の債務が免責になったとの情報があります。
奨学金を借りて専門学校に入学を考える方は、卒業後にきちんとしたお給料をもらえる職業に確実に就ける専門学校でなければ危険です。

デメリット・リスク2
大変で続けられない
専門学校は「大学をあきらめた学生の進路なので、学力はそれほど不要で、誰でも簡単に卒業できる!」などと思うと痛い目を見ます。
大学4年間とは違い、専門学校は2-3年間で職業に通用するような人材を育てなければなりません。
実は、専門学校でしっかりと学んで卒業しようと思えば大学よりも大変です。
特に国家資格などの難関資格を受験させる専門学校は極めてハードです。
とにかく課題や宿題を多く出されます(そうでないゆるい専門学校は専門性を高められないし、ロクな就職もない)。
「仕事の方がお金ももらえるし、楽だった・・・。」
と感じると思います。

ヒロト

デメリット・リスク3
やりたい仕事に就けない
どの専門学校の広告にも華々しく夢を勝ち取ったOBの写真が、アナタもこうなれますよ!という雰囲気で掲載されています。
冷静に考えれば分かることですが、入学した全ての学生がそのような成功をするとは限りません。
専門学校の質にもよるでしょうが、目標とする職業にほとんど就職できていない学校もあるようです(一部)。
この辺は、情報公開された情報から読み取ることができるのですが、情報公開をしていない専門学校の実情は知ることすらできません。


ヒロト

就職率は参考にならない
社会人の専門学校選びにおいて、就職率は無意味です。
就職率は、就職希望者が就職できた割合を表したものです。
すなわち、コンビニ店員でも就職にカウントされます。
また、なぜか就職を希望しない人も一定数いるので、あてになりません。
大切なことは、専門的な職業に何人就職できているかです。注意しましょう。
デメリット・リスク4
年齢により再就職が困難になる
卒業時の年齢が30歳を超えると、専門学校で専門知識・資格取得をしても、かなり厳しい就職活動を余儀なくされるはずです。
専門性を生かした職業に、就職できる可能性はゼロではありませんが、「選択肢が少い」、「妥協しなければならない」ということも覚悟しておいた方が良いです。
ただし、前職の経験を生かせる場合であれば、かなりマシになります。
なので、入学を決める前に、今の仕事経験が、就職にどのように役立つか自己分析・業界研究することをオススメします。
30歳未満の場合も、20代後半になってくるほど、採用される確率は落ちていくと考えた方が無難です。
ですので、異業種への転職が目的であれば、
卒業時の年齢が28歳以下が望ましい
かと思います。理由は下記。
参考:転職成功者の平均年齢
大手転職サービスdoda(←公表データ:外部サイトへのリンク)が、2019年上半期の転職成功者の平均年齢を公表しています。
それによると、
男性:32.6歳
女性:29.8歳
となっています。

ヒロト


特に、異業種転職の場合、「なぜその歳になって専門学校に入ったのか?」について、しっかりと面接官に説明できないと痛いです。
入学を決める前に、その答えをしっかりと考えてから行動に移した方が良いでしょう。
安易に「やってみたいから」「安定して給料が良い」「夢だったから」「お金を貯めてから進学した」では面接官は納得しません。
こちらの記事を読んで、対策しましょう。
デメリット・リスク5
学歴として見てもらえない
専門学校卒という学歴を評価してくれない企業は多くあります。
そんな企業は初めから求人に「大卒以上」という条件をつけて大卒以外を公然と門前払いにします。
これは、俗に
「学歴フィルター」
と呼ばれています。
求人票に学歴不問と書く企業は多いのですが、実際はそんな会社でも「学歴フィルター」で有力大学の卒業者を優先的に採用する場合が多いと言います。
大学にもレベルがあり、偏差値が著しく低い大学、いわゆる「Fラン」大学に行くくらいなら、専門学校に行って手に職をつける方が良いという意見も多いですが、求人で大卒以上という条件があれば専門学生はお手上げです。

アナタの目指す職業について、大学でも学べる場合、専門学校に行ってしまうと・・
「学歴フィルター」に引っかかる確率が高いです。
例えば、デザインの分野なんかは、美術系大学がありますから、就活のライバルに大卒がいる事になります。
実際は、デザイン系の仕事については、実力が全てなので、デザインの現場で働くのであれば、大卒、専門卒は関係ありません。
なのに、大手企業を中心に、大卒を優先的に採用するという慣習があることは否めません。
これについては、こちらの記事(外部サイト)が参考になります。
学歴フィルターがあまり関係ない専門分野もあります。
それは、仕事に国家資格が必要な場合です。
同じ求人に対して、大卒の有資格者が応募し、競争になれば不利にはなりますが、どこにも内定をもらえないというような最悪な状況にはならないでしょう。
というのも、そのような専門分野の専門学校は日頃からインターンや実習先という形で、これらの企業と深いつながりがるためです。
むしろ、講師が企業から派遣されてくるという場合も多いです。
企業とのつながりが多い専門学校では、それらの企業から求人をもらえます。
また、企業側も日頃のお付き合いを考え、関わっている専門学校の生徒を、優先的に採用するというケースが多いです。
企業側も実習などで来た学生の様子を常に観察していて、使える学生であれば、企業側からアプローチすることもあります。
この辺が「専門学校は就職に強い」と言われる所以です。
ただ、最近は医療系の大学が増えているため、医療系国家資格を持っていても、大卒じゃないと採用しないという医療機関が増えているのも事実です。
デメリット・リスク6
社会人は進路を間違えやすい
高校であれば進路指導の先生のアドバイスをもらえるので、大きな進路選択ミスは避けられます。
しかし、社会人の場合、転職や進学について一人で考えなければならないことが多いです。
なので、(結果的に)間違った進路を選択する社会人が結構います。
この、「結果的に」という意味は、思ったような成果が得られないことのことで、入学後しばらくしてから発覚するのでやっかいです。

ヒロト


ヒロト


社会人から進学するか悩む背景には、今の仕事は辞めたいという事情があるケースが多く、精神的に追い込まれていることもあります。
そのような精神状態の中で、冷静な判断ができず「やってみたい」が先行してしまうこともあります。
その気持ちは痛いほど分かるのですが、ここは一旦、冷静に自分の進路、キャリアを考えた方が将来のためです。
そのためには、一人で悩むよりも、誰かに進路の相談をした方が、客観的な判断ができます。
社会人の進路相談については「【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人の悩み解決方法とは」という記事が参考になるはずです。
■ さいごに ■
進学する気満々の方へは、モチベーションを下げるような記事だったかと思います。m(_ _)m
ただ単に、慎重になってもらいたいので、リスクを強調した形になってしまいました。
全ての人が、デメリット・リスクが高いわけではありませんが、ご自分はどうなのかを考えるきっかけになればと思います。
社会人でも、きちんとした進路選択の手順、すなわち、「正しい自己分析→業界研究→良い学校選び→企業研究→就職」をやれば良いだけです。
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