
職業実践専門課程とは
職業実践専門課程について、文科省のサイトでは下記のように説明されています。
専修学校の専門課程であって、職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的として専攻分野における実務に関する知識、技術及び技能について組織的な教育を行うものを、「職業実践専門課程」として文部科学大臣が認定して奨励することにより、専修学校の専門課程における職業教育の水準の維持向上を図ることを目的とするものです。
要するに、専門学校の質の向上を狙ったもので、実務に関する知識や技術に重点をおいています。

全国に2,628※1の私立専門学校がありますが、そのうち職業実践専門課程に認定された課程を設置している専門学校の数は981校※2です。
※1 平成30年度文科省統計要覧(データはH.29のもの)
※2 本サイト(進学羅針盤)調べ。休校中および募集停止または募集停止予定の学校は除いた。

専門学校の職業実践専門課程のメリット
企業と連携したカリキュラムと教育体制
教員の質の確保
専門学校の教員は、常勤の専任教員と特定の授業だけを教える非常勤講師がいるのが一般的です。
平成30年度文科省統計要覧によれば、全国の私立専門学校における専任教員数は34,779名に対し、非常勤講師は102,275名となっており、圧倒的に非常勤講師が多いことがわかります。
専門学校では業界人を非常勤講師として招き、より専門的で実務的な授業を行なっているということだと思います。
さらに、職業実践専門課程では個人としての業界人ではなく、業界の企業が専門学校と連携して組織的な授業展開を行うのが特徴です。
ですので、カリキュラム全体がより高度で専門的な授業を期待できるといえるでしょう。
また、「職業実践専門課程」に関わる教員に対して、企業と連携した専攻分野における研修を組織的に行うことになっています。
このことにより、専門学校の常勤講師も実務に関してスキルアップを図ることができ、教員の質の向上につながります。
実践的カリキュラムの編成方法
職業実践専門課程のカリキュラム編成は、企業や業界の人がメンバーとして参加する「教育課程編成委員会」が行います。
業界人がカリキュラム全体を見渡し検討するため、実践的かつ体系的なカリキュラムが編成されます。
もちろん企業の人が編成委員に加わるので、企業が欲しい人物像がカリキュラムに反映しやすくなります。
企業も入り学校評価を行う
第三者による客観的な学校評価ではなく、学校関係者による自己評価ではありますが、学校評価を実施しその結果を公開することになっています。
この学校関係者には企業や業界人、さらにはPTA代表が入るため、それなりの自己評価が行えると思います。
評価項目は学校運営や教育環境、学修成果、学生支援、財務状況など幅広いのですが、特に学修成果については前述したカリキュラム編成に密接に関連があります。
学修成果の評価で得られた結果をさらにカリキュラム編成に生かすことで、PDCAサイクルを回すことが可能となり、専門学校の質の向上につながることになると思います。
情報公開による安心感
職業実践専門課程に認定された課程では、主な項目として下記の内容を公開することが義務付けられています。
※一般の方に分かりやすいよう項目名は変更しています。
※入学希望の方が知りたそうな情報をピックアップしています。
- 学生数(実員)
- 就職者数
- 卒業者数
- 進学者数
- 退学者の現状(人数と主な理由等)
- 資格試験合格者数等
- 具体的な企業との連携の例
- カリキュラム編成の考え方
- 企業での教員に対する研修内容
- 授業科目の概要
就職率・資格合格率のリアルな数字
上記の情報公開の項目で、専門学校へ入学を考えている人が特に気になるのは、就職者数、退学者数、資格試験等の合格者数ではないでしょうか。
しばしば専門学校の広告には、「就職率100%」などという文言が目立ちますが、希望就職者数(就職を希望する人)が母数となっていることもあり、実際には就職せず卒業をする人がいることもあります。
情報公開されている場合、卒業者数と進学者数が明記されているので、実際の就職率を知ることができます。
同じく、資格試験の合格率も受験者数がわかるので、合格率ではなく、全学生のうち何人が受験して、何人が資格取得できたか分かります。
資格試験については、全ての学生が受験するとは限りません。合格しなさそうな人は初めから受験申し込みをしなかったり、試験日当日欠席する場合もあり得ます。
当然、試験を受けなかった人は合格率の母数から外れますので、合格率の数字を上げたい場合は、不合格になりそうな人が受験しなければ良いということになります。
職業実践専門課程の情報公開については「失敗しない専門学校選び、職業実践専門課程の公開情報の見方」の記事で詳しく解説していますので気になった人はご一読ください。

企業との連携実績を知ることができる
職業実践専門課程に認定されていない専門学校でも、実務を売りにする専門学校では企業との連携は行われています。
しかし、企業との連携がどのような形で行われているか分からない場合が多いと思います。
職業実践専門課程に認定されている課程については「具体的な連携の例」を情報公開されており、どの科目をどの企業とどのような内容で連携しているのかを知ることができます。

メモ
なお、職業実践専門課程に関する情報公開については、一般的に専門学校の公式サイトのトップページにリンクあります。「職業実践専門課程学校基本情報」という名称や単なる「情報公開」という名称で掲載されていることが多いです。
社会人は給付金がもらえるかも
雇用保険で3年以上(初回は2年)の被保険者であれば、「専門実践教育訓練給付金」と「教育訓練支援給付金」をもらえる可能性があります。 続きを見る
職業実践専門課程に認定されている課程に入学し、所定の手続きを行うことにより、専門学校に支払う学費の一部と生活費として使える給付金をもらえる制度です(条件を満たしている必要があります)。
専門実践教育給付金では本人が支払った学費の50%(年間最大40万円、最長3年間)を受給できます。
また、教育訓練支援給付金は職業訓練期間に失業中となる場合に受給でき、失業保険基本額の80%を訓練期間中もらえます。
これらの給付金について詳しくは「社会人が専門学校の職業実践専門課程で学ぶときに使える給付金」をご覧ください。
社会人が専門学校の職業実践専門課程で学ぶときに使える給付金

メモ
通称「大学無償化」と呼ばれている「高等教育の修学支援新制度」が2020年4月から始まります。
「大学無償化」と呼ばれていますが、専門学校も無償化の対象となっています。
ただし、初めて高校を卒業して2年以内に入学した人が対象となります。
世帯収入に応じて給付額が変わり、世帯年収380万円未満であれば、ある程度の恩恵を受けられます。
2019年現在では、専門学校全体の約6割が無償化の対象になっています。
職業実践専門課程を設置する専門学校の9割程度が無償化の対象となっており、「職業実践専門課程」と「無償化」のダブル認定校は質が高いと思われます。
なお、定員充足率や経営等に問題がある専門学校は無償化対象校にはなれません。
良質の専門教育を受けるために
当然のことですが、同じ専門分野を学ぶための専門学校はいくつもあり、学校の教育の質や学生へのサービスも違いがあるはずです。
職業実践専門課程に認定されていて、無償化対象校の専門学校に入学しても、100%あなたの夢や目的が果たせるとは限りません。最終的に様々な情報からあなた自身が学校を選ぶ必要があります。
ですので、学校選びは余裕を持ってじっくりと慎重に行う必要があると思います。具体的には資料請求は早めにした方がよろしいかと思います。
例えば高校生の場合、高校1年から資料請求し、複数年度の資料を手元に置いておくと便利かもしれません。
普通、学校案内のパンフレットには卒業生の就職先や資格合格率が掲載されています。ホームページにも就職先や資格合格率の記載はありますが、年度が変わると更新されてしまい、過去のデータを見ることができなくなる可能性があります。
その点、紙でデータを残しておけばいつでも過去の就職先を見ることができるほか、資格試験の合格率の変化も知ることができるかもしれません。
特に、就職先と資格合格率は、その専門学校の質を知るための最も代表的なデータと言えるので、なるべく多くのデータが欲しいところです。
職業実践専門課程を設置する専門学校
ー都道府県別ー
各県の「職業実践専門課程」に認定された課程を設置する専門学校の資料請求ができます。資料請求は無料なので是非ご利用ください。
北海道・東北エリア | |
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1.北海道 | 2.青森県 |
3.岩手県 | 4.宮城県 |
5.秋田県 | 6.山形県 |
7.福島県 | |
関東エリア | |
8.茨城県 | 9.栃木県 |
10.群馬県 | 11.埼玉県 |
12.千葉県 | 13.東京都 |
14.神奈川県 | |
甲信越・北陸エリア | |
15.新潟県 | 16.富山県 |
17.石川県 | 18.福井県 |
19.山梨県 | 20.長野県 |
東海・近畿エリア | |
21.岐阜県 | 22.静岡県 |
23.愛知県 | 24.三重県 |
25.滋賀県 | 26.京都府 |
27.大阪府 | 28.兵庫県 |
29.奈良県 | 30.和歌山県 |
中国エリア | |
31.鳥取県 | 32.島根県 |
33.岡山県 | 34.広島県 |
35.山口県 | |
四国エリア | |
36.徳島県 | 37.香川県 |
38.愛媛県 | 39.高知県 |
九州・沖縄エリア | |
40.福岡県 | 41.佐賀県 |
42.長崎県 | 43.熊本県 |
44.大分県 | 45.宮崎県 |
46.鹿児島県 | 47.沖縄県 |
