保育士を目指すには大学、短大、専門学校のどの進路でも可能です。保育士を目指す人はこの3つで迷うことはないでしょうか?
実際に保育士として働くとなると、お給料のことが気になるのではないでしょうか?
この記事では、「4大卒」と「短大・専門学校(2年制)」で給料がどれくらい違うかを調べてみたのでご紹介します。ぜひ進路選びの参考にしてください。
なお、2年制短大は2年制の専門学校と同等とするのが通例で、求人の条件でも同等として扱われます。
「4大卒」と「専門学校・短大」の給料の違い
実際に求人サイトに掲載されている求人情報での学歴による給料の差がどれくらいあるのかを調べました。
調査方法
・使用した求人情報サイト
→求人ボックス.com
・調査期間
→2019年8月第3週の7日間に新規に掲載された情報
・条件
→保育士資格を必須とする求人
→正社員の求人
→4大卒と短大・専門学校(2年制)で給与の区別がはっきりと分かる求人
→給料の幅がある場合低い方を採用
→同一法人による求人でも、保育園や職務内容が異なれば1件として扱う
→中途採用と明記されているものは除外した
→各種手当額が不明なものは除外した
→専門学校は2年制と3年制で給料を分けているケースがあるが、2年制の給与額を採用した
調査結果
462件の有効なデータを得ることができました。なお、全てのデータで4大卒の給料は短大・専門学校よりも高い結果でした。
なお、ここで言う「給料の差」とは、一つの求人の中で
差=(4大卒給料)ー(短大・専門給料)
で計算をしています。
4大卒 | 短大・専門 | 給料の差 | |
---|---|---|---|
平均 | ¥214,442 | ¥206,348 | ¥8,094 |
最大 | ¥285,800 | ¥275,600 | ¥45,000 |
最小 | ¥148,000 | ¥138,000 | ¥894 |
4大卒の平均給料(月額)は¥214,442円で短大・専門卒では¥206,348円でその差は¥8,094円でした。
平均値で考えた場合、4年制大学を卒業する価値は月額8千円程度と保育園は判断しているようです。
ボーナスが3ヶ月出たとして年額で約12万円程度の価値と考えられます。
2年制の短大・専門学校より2年分多く学費を払って大学を卒業しても、その差額の元を取るには時間がかかりそうです。
ここまでは平均値について述べましたが、平均値という値はあくまでも目安としてよく使われます。
しかし、元のデータに偏りがある場合、案外と頼りないもので正しい比較をできない場合があります。
ゆえに、データがどのように分布しているかを「度数分布」で見てみましょう(図1)。
短大・専門卒の度数は18〜22万円の度数がほぼ同じで、その中心に平均値の約20万円があります。
4大卒は19〜23万円に度数が集中していますが、その中心よりも下側の19万円にピークがあり、分布に偏りがあるようです。
また、24万円と25万円では4大卒と短大・専門卒の度数がほぼ同じです。
これは、短大・専門卒でも4大卒と変わらず比較的高い給料をもらえる層がいることを示しているのではないでしょうか。
図2は各保育施設が「4大卒者」と「短大・専門卒者」にどれだけ給料の差をつけているかについての度数分布です。
給料差の平均値は約8千円でしたから、平均値よりも左側に多くの度数が存在し、著しい偏りがあるのがわかります。
すなわち、数的には平均値よりも少ない給料差しかつけない保育施設が多いということです。
保育士の給料と学歴についての考察とまとめ
結局のところ、保育施設のほとんどでは4大卒であることを(給料面で)高くは評価しないと考えられます。
その一方で、一部の保育施設では1万円〜2万円という大きな差をつけて4大卒を優遇するケースもあります(図2参照)。
4大卒の人はこの辺を注意しながら就活した方が良さそうです。
その他に今回のデータをとりまとめている時にいくつか気づいた点がありますので参考までに列挙しておきます。
4年制大学にいくメリットは?
多くのケースで学歴により給料の差がないのであれば、短大や専門学校の2年間で保育士になった方がコスパが良さそうと思われます。
しかし、4年制大学に行くメリットもいくつかありますので、よく考えて行動してください。