



大学や専門学校のパンフレットは広告です。
広告には嘘は書けませんので本当のことを書いています。
ただし、なるべくよく見えるように様々な工夫をして学生を獲得しようとしています。
特に、専門学校では就職率がウリの一つですから強いアピールをします。
具体的な数字を提示されると、人は信じてしまう傾向にあります。
大学や専門学校の就職率をはじめとした、「数字の見方」について考えてみましょう。
広報で有利になる就職率の計算の仕方
ずるい計算方法
(就職した卒業生数)/(就職を希望した卒業生数)×100=就職率分母の数を小さくすれば就職率は高くなります。
極端な話、就職しなかった人は「就職する意思が無い」と見なして、全員除外すれば100%になります。
※全ての大学や専門学校が、このような極端なことをしているとは限りませんが・・・。



あきらめ方も様々です。
- 正社員ではなく派遣、非正規、パート、アルバイトにする。
- 目指していた業界・業種をあきらめる
- 卒業までに就職決定せず、目指す職業のため就職浪人する
- 卒業までに就職決定せず、卒業後てきとうな職に就く
上記の1と2については就職率の計算式の分子を増やします。
3と4は「就職する意思なし」で分母を減らす効果があります。
どちらにせよ、就職率の数値は高くなります。


就職率=正社員率ではありません。
契約社員やアルバイトも含まれる数字が、ほとんどだと思います。
場合によっては、学生時代にアルバイトしていたコンビニでアルバイトを続ける場合も、就職としてカウントされることもあるくらいです。
一応、ルールでは1年以上の雇用契約をした場合に就職者とすることにはなっていますが、アルバイトの場合はこの辺は曖昧なことが多いかと思います。
※学校によって、就職者のうちの正社員数を開示していることもあります。こういう学校は信頼できますね。

大学や専門学校の中には極めて専門的な分野(マニアック)を扱う学校があります。
一般の人から見れば、そんな職業で世の中にどれくらい求人があるの?と思ってしまう分野もあります。
求人が少ない職業を狙うので、全く違う業界に妥協して就職しなければならないことも少なくありません。
また、親や先生はとにかく就職することを是とするので、「とりあえず就職しなければ」というプレッシャーが妥協を加速します。


夢を実現するためにその学校に入学したのですから、分野を変えて就職するには普通抵抗があります。
さらに、面接試験では「○○の専門」を学んだあなたが、「なぜこの会社を志望するのか?」などとストレートな質問が来ます。
そんな中、何社か不採用になると心が折れてしまうのです。
就職活動自体が嫌になってしまい、場合によっては退学、引きこもりに陥る事も・・。
また、「とりあえず就職できるから安心」という指標でもないのです。
大学・専門学校広告の就職率を見極める方法



キチンと情報公開している学校を選ぶ
大学では、就職状況について情報公開することが法的に定められています。しかし、専門学校での情報公開はまだまだ進んでいないのが現状だと思います。
そんな中でも、職業実践専門課程に認定されている課程や高等教育の修学支援(大学無償化)に認定されている専門学校については一定の情報公開が義務付けられています。
特に、職業実践専門課程では企業と連携して教育を行う中で、企業や保護者が参画する学校評価までしているため信頼できると言えるでしょう。
公開される情報も行政が目を光らせているので、信頼できる情報となっている模様です。何年か前に、虚偽の申請をしたとして、職業実践専門課程の認定を受けられなかったという専門学校もあるみたいです。
職業実践専門課程の情報公開について詳しくは「失敗しない専門学校選び、職業実践専門課程の公開情報の見方」で書いていますのでご一読ください。
オープンキャンパス・進学相談会で聞く
各大学や専門学校が開催するオープンキャンパスや進学相談会で、ズバリ聞いてみるといいと思います。
高校生の方は、鋭い質問をするため、オープンキャンパスや進学相談会には、保護者同伴で参加することをオススメします。
知るべき情報は「就職率」ではありません。
- 入学した時の人数と卒業時の人数(または退学率)
- 単年度の就職先一覧(正社員かどうか分かるもの)
この2点の資料を提示できるか聞いてみてください。
退学率が高い学校であれば、そもそも危険です。
卒業時の人数と、就職先の企業の数が一致しなければ、「就職を希望しなかった人」がいるということです。
また、単年度の就職先一覧を見れば、各年度で業界の会社に何人くらい内定するのかを見極められます。
単年度にこだわる理由は、「就職実績」とだけ書いて、過去数年分の良い就職先だけを集めて魅力的に見せる手法があるからです。
もし、詳細なデータは出せませんという学校だったら危険です。
学校として把握しているにもかかわらず、外に出せないということですから。
逆に、パンフレットにこのような詳細データが記載されている学校は信頼できます。
進学サイトや進学雑誌では嘘を書けない

各学校の記事を書くのは学校の広報担当者ですが、掲載基準というのがあって一定のルールを守らなければなりません。
掲載ルールの例- 〇〇%と書く場合には、何人中の何人がそうなったのかを記すこと。またはその根拠を示すこと。
- 虚偽の記載をしない事
たとえば、マイナビ進学や
スタディサプリ進路に掲載されている内容については、信頼できると思います。
気になる大学・専門学校があれば、マイナビ進学や
スタディサプリ進路を一度は必ず目を通しておいた方が無難です。
ポイント
大学・専門学校が本当にアピールしたいポイントとして就職率がある場合、以下が考えられます。
- 本当に就職率が良い
- 就職できなそうなイメージの払拭
ですが、重要なのは就職率よりも就職先になると思います。
進学系サイトには就職先一覧が記載されています。
特に、マイナビ進学やスタディサプリ進路に記載される就職先一覧は、直近の単年度のものが掲載されることが普通なので参考になります。

その学校の専門分野に該当する企業の数と質に注目です。専門分野への就職率として掲載される場合もあります。
就職先一覧が複数年度であれば過少に評価する必要があります。例えば2年分であれば、企業一覧を2分の1の価値として考えます。
資料請求は早めに
もしあなたが高校1・2年生やその保護者の場合、早めに資料請求をしてください。
進学系サイトの情報や学校のパンフレットは年度ごとに更新されてしまいます。
昨年度のデータや記事を見ることはできないので、紙の資料として大学や専門学校の資料をストックすることに意味があります。
過去のパンフレットと比較することにより、見えてくるものがあるかもしれません。